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熊本県立美術館
ハイビジョン・プレゼンテーションシステムの意外な活用法
 
熊本県立美術館
「えっ!あの有名な絵画の色を抜いちゃうの!? 構図の一部を隠しちゃうの!?」
熊本県立美術館では子どもたちに芸術に親しんでもらおうと、「土曜子ども美術館」(月1〜2回)や「夏休み子ども美術館」(年1回)を開いている。そこで、絵画の色を抜いたり、構図の一部を切り抜いたり、一部にモザイクをかけたり、作品を未完成なものにして、90インチのハイビジョン画面に映し出し、子どもたちに創造させている。
子どもたちは、自分の感性をフルに働かせ、有名な画家の作品をマイ・ブランドに仕上げていく。マイ・ブランドと基の作品を見比べてみる。子どもたちの感想はさまざまだ。自分たちが付けた色の方がいいと言う子、やっぱり基の色の方がきれいだと感じる子、隠された作品の一部が考えていたものよりずっと意外なもので驚く子。芸術が子どもたちの身近なものに変わる。
1976年に開館した熊本県立美術館がハイビジョン運用をはじめたのは、今から2年前の1998年のこと。この「子ども美術館」の資料づくりにハイビジョンが使われた。まず、プレゼンテーションシステムを使って、色抜きや切り取りなどをし、分かりやすいように拡大。スライドでは、手間がかかる上、上映時には部屋を暗くしなければならない。また、カラーコピーを使うとコストがかさむ。ハイビジョンの大画面に映し出すことの効果は、色のきれいさに加え、一度に大勢の人が一緒に見られ、共用感を生むことである。
大好評の「子ども美術講座」は、参加を公募せずして、多いときには100名くらいの参加がある。今年も「夏休み子ども美術講座」は開かれた。
が、ハイビジョンの出番はなかったようだ。私もぜひ「子ども美術講座」に参加したい!
そして、もっと気軽に芸術を楽しみたい。

[問い合わせ先]
熊本県立美術館本館 TEL.096-352-2111
子どものためのホームページ 
http://www.edu-c.pref.kumamoto.jp/eduart/

Software
  岐阜県美術館
‘触れる鑑賞’への果敢な試み「視覚障害者のための所蔵品ガイドブック」


「視覚障害者のための所蔵品ガイドブック」 より

「視覚障害者のための所蔵品ガイドブック」 より

美術館と視覚障害者。ともすれば縁遠くなりがちな関係に一石を投じる試みが行われている。
岐阜県美術館が今春発行した「視覚障害者のための所蔵品ガイドブック」は、視覚障害をもつ来館者のために用意された作品鑑賞の手引きであり、美術の楽しみを作品に触れることで体験するプロジェクトでもある。対象となっているのは、彫刻・立体の8作品、具象彫刻のエミリオ・グレコから小清水漸、佐藤慶次郎まで7作家の作品が鑑賞できる。
さて、ガイドブックを開くと、最初の見開きに、写真(1頁目)と作品を模った盛り上げ図版(2頁目)、次の見開きに、鑑賞の手引き(3頁目)と解説(4頁目)が通常の印刷と透明な立体インクを使用した点字の双方で掲載されており、4頁で1作品を紹介する構成となっている。
制作にあたっては、学芸員とプロジェクトに賛同した視覚障害者が何度も試作を重ねたとのこと。晴眼者から見ても独自の存在感をもつ見事な仕上がりは、制作に係わった関係者の並々ならぬ情熱の賜物だろう。
ガイドブックで解説を読み、ギャラリー解説員と会話しながら、実際の作品に手で触れる。
ガイドブックは言うまでもないが、美術館の教育普及活動がついにこの地平まで辿り着いたこと、その果敢な試みを大いに称えたい。

岐阜県美術館 TEL.058-271-1313
岐阜県美術館のバリアフリーへの取組み 
http://www.dnp.co.jp/museum/gifu/barrier-free.html

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