カノーヴァン外観(canolfan )
カフェ・カノーヴァンのキッチン。
メニューは、チャイ、エスプレッソ、
ミントティ、ビールなどドリンク中心。
フレンチトーストも。
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名古屋のアートシーンはこのところ、若手アーティストたちによって活気づけられているといっていい。ユニークなアートスペースを自主運営したり、ゲリラ的なイベントを仕掛けるなど、従来の枠にとらわれず、あたらしいスタイルを次々に生みだしている。
そんな若手アーティストの活動をいつもあたたかく見守り、彼らのお手本ともいうべき独自のスタイルをつくってきたのがカノーヴァンだ。
地下鉄東山線新栄町から徒歩数分のビルの一階。名古屋の繁下街でありながら、静かで落ち着いた空気がただよう。オーナーの新見永治さんは、92年、これまでのギャラリースペースを今の場所に移し、ギャラリーとカフェをオープンさせた。外からガラス越しに見ることのできるギャラリーはこじんまりとしていて小気味良い。カフェは同じビルの別の入口から入り、キッチンとカウンターコーナーの脇を通り抜け、さらに奥まったところ、隠し部屋のように在る。
四人掛けの丸テーブルが四つと二人掛けの丸テーブル一つ。書籍やビデオ、Tシャツやグッズを展示販売しているコーナーとDJブースが手前に。奥は美術関連の書籍が棚に並べられていて、自由に読んでくださいとある。広すぎず狭すぎず、明るすぎず暗すぎず、適度な空間。ゆったりとした時間が流れているからついつい長居をしてしまいそうな、そんな場所。
カフェをつくった理由について「欧米にあるようなギャラリーや美術館に併設されたカフェの居心地のよさを見ていて…」と新見さんはいう。おだやかな語り口とほんわかしたムードはそのままカフェの雰囲気になっているようだ。「最近、カフェがあちこちにできていますが、カッコイイだけのカフェっていうのはどうかなと思うんです」。流行の最先端をいくカフェはカッコイイかもしれないが、知らないうちに客を選んでしまうようなことになりかねない。「もっと雑然としていて、誰もが気がねなく集まり、語り合えるような場」。居心地のよいカフェは人の心を開放し、イマジネーションをかき立てる。カノーヴァンのようにふらっと立ち寄りたくなるようなカフェには、いつも人が集まり、あたらしい物事が有機的に生みだされていく。そんな営みの源泉は「アートでカフェ」「アートなカフェ」でもなく、カノーヴァンというスタイルにあるのだろう。
名古屋の若手アーティストたちが、アートスペースにカフェコーナーを設けたり、表現として食べものや飲みものを囲むパーティーやイベントを多く催すようなったのも、草の根的なアートカフェをつくったカノーヴァンの影響は大きい。今年2月からは「カノーヴァン・エイト*」という若手アーティストとのコラボレーションも始まった。アートカフェの可能性を今後どう展開させていくのか。さらにこれからどんな面白いことが起こるのか。ひとりの客として、お茶でくつろぎながら、そんなことを考えるもの楽しい。
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展覧会を開催中のカフェ・カノーヴァン。
さて、作品はどこにあるでしょう。
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