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CAP HOUSE
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11月3日の「100人大掃除」
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防塵服を着てラジオ体操
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「メモリアルルーム」や資料展示室のある2階
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2階サロン
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サロン
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11月3日文化の日、190日間の実験はスタートした。
いったい、CAPって何?という方のために簡単な説明から。The Conference on Art and Art Projectsの頭文字をとって通称CAP。神戸を拠点に、1994年9月に発足した「現代美術の探究と普及」を目的として活動する非営利団体だ。 CAPは継続的に、「CA PARTY」(ワン・デー・アート・パーティ。「CAP」と「PARTY」をつないだ造語)というイベントを行なっている。芸術を通してさまざまな出会いと、交流が行なわれる場を、積極的につくっていこうと試みている。特に文化の日に実施されるイベントは、5年連続して催されている。神戸の姉妹都市マルセイユのアーティストたちのグループが、被災したアーティストのために役立てたいと送ってくれた義援金をもとに、95年11月3日にはじめての「CAPARTY」を開いた。
CAPでは、発足時からアートセンター構想を作成。ただし、箱をつくろうという提案ではない。 CAPは場所を持たずに、街のなかにソフトとして「場づくり」を提案していくのみだ。しかし、今回はじめてスペースを190日間という期限付きで運営していくことになった。
CAP HOUSEは北野町の異人館街からほど近い場所にある。この建物は昭和3年から昭和46年までの43年間、主にブラジルに日本から移民する人々への導入教育を行なう「ブラジル移民センター」として機能していた。日本全国から延べ約25万人をここから海外に送りだした。いわば歴史の重みを背負った建物だ。(昭和46年以降は、看護学校、海洋気象台の仮庁舎などとして今年3月末まで使用されてきた)。
11月3日はまず使用する初日を記念して、「100人大掃除」というイベントを行なった。CAPロゴ入り防塵服は、用意した140着がなくなった。掃除といっても、この人数で真っ白な防塵服に身を包んで行なうわけだから、ちょっと並み大抵なことではない。この掃除の総監督である「お掃除隊長」やフロアごとのリーダーも大活躍。綿密に練られた作戦によって、一日がかりでなんとか掃除は終了。建物の表側には、目印のバナー(旗)もとりつけられた。
1階は事務局、図書コーナー、サロンなどあらゆることに対応する共有スペース。2階に上がると、移民センターの当時を語る「メモリアルルーム」、CAPや
アクト・コウベ・ジャパン(以下、AKJ)のこれまでの足跡をたどる写真などの資料を展示した部屋もある。子ども部屋と呼ばれる文字通り、子どもが自由に使える部屋まである。その他、CAPメンバーの藤本由紀夫、
椿昇、杉山知子、倉智久美子、木村のぞみ、PUBWAYほかのアトリエ。自分のアトリエとしてではなく、いろいろなアーティストに発表の場として、そしてその作品について語り合えるような場をつくろうとした金山直樹の「211号室サロン」など、使用方法は十人十色である。
オープンから約1ヶ月、新聞やテレビの報道のおかげで、記事を読んで見学にやって来る人や、制作に来るアーティストで毎日何かと慌ただしい。隔週くらいのペースで週末に、アーティストによるスライド・レクチャーなどイベントも目白押しである。11月28日には台湾で被災したアーティストの支援のためのパーティも開かれた。AK Jのメンバーによるサウンド・パフォーマンスや、ダンス、飛び入り参加したフィリピン人の方によるフィリピン少数民族の笛の演奏があった。
2000年5月10日までの間に、メンバーによる多彩な企画がまだまだ用意されそうだ。芸術を通して、これからさらに大きな輪ができていくことが期待できる。イベント情報の詳細などは随時ホームページに掲載されるので、要チェックだ。