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World Art Report |
市原研太郎
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2001年夏、ヨーロッパで開かれていた展覧会から[2]
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オランダ
さて今回は、ヤン・フートがディレクターを務めていて、「ロカスフォーカス」というタイトルであり、場所性に焦点を当てた展覧会である。アートと公共空間の関係を探ることが目的となっているこの展覧会は、公園だけでなく町の中心にある教会とその周辺、そしてショッピング・モールを使って行なわれた。教会の内部での展示は、厳密にいえば野外展示ではない。しかし、通常のホワイト・キューブとは違う環境ということで、アーティストは、中立ではない特徴ある世界(宗教的な神聖さ)を考慮しながら制作することになる。アーティストたちは、教会のさまざまな部分、本堂だけでなく教会の薄暗い地下室や鐘楼の最上階を効果的に使っていたと思う。教会がアートの淵源にある空間だから、すんなりと入り込めるのだろうか。しかし今回一番興味深かったのは、ショッピング・モールに置かれた諸作品だった。というのも、商店で売られる大量の商品と購買客の錯綜のなかに作品が埋もれてしまい、発見できなかった作品が半数にも上ってしまったからである。ソンスビークに置かれたほうは、手を加えられているとはいえ、アートと対極にある自然と張り合ったり協調したりすることを求められるが、ショッピング・モールのほうでは、同じ人工の産物とはいえ、アートとは機能の違う環境のなかで、そこから作品を浮き立たせるという作業がアーティストを待ち受けていたのである(あるいは初めから埋没を意図した作品もあったかもしれない)。結果は、雑多な商品と無関心な客の間に挟まれ、アートは消え去ってしまったかのようだった。作品の商品化という資本主義に特有のアートを襲う災厄が、この事態を招く引き金になっていると考えてもよいが、アートの社会的有効性がすっかり覆されるカオティックな大衆および消費社会の存在を改めて痛感させられた展覧会だった。
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