夏のワークショップ特集
Archive
logo
 新たなコミュニティー創出の試み
           ――大阪大型児童館ビッグバン……大月ヒロ子

6月にオープンした 大型児童館ビッグバン外観
6月にオープンした
大型児童館ビッグバン外観
6月23日にオープンしたばかりのチルドレンズミュージアム「ビッグバン」。大阪府が建てた施設ですが、運営は財団に任され、そこで働く人も大半が民間人。生きのいい企画や運営が期待されています。フロアクルーという子どもたちの遊びをサポートするスタッフはビッグバンカレッジでの養成講座の卒業生。十代から六十代まで幅広い年齢の人たちが生き生きと働いています。繁忙期は40人にも上る人たちがフロアーで活躍してます。

ここでは1年を3つのテーマに添った催しで全館をふんわりとくくるという企画が考えられています。3つのテーマとは「日本と大阪に徹底的にこだわる」「科学の不思議や楽しさを体感する」「心と身体を自由に遊ばせる」。今年度はそれぞれのシリーズ第一弾ということで、「オオサカポップ 見せ物小屋的世界」、「リサイクル 環境へのまなざし」、「サーカスがやってきた!みんなのドキドキとワクワク」という企画が夏・秋・冬と順を追って催されます。毒抜きの自主規制した企画ではない、エッジのたった、また、社会のしくみや成り立ちを子どもたちに向けて正直に提示していく催しを実施していくことが、大切であると考えています。


さて、まるで宇宙船のような建物の中はどうなっているのでしょう?一階エントランスからワープカプセルという仕掛けのあるエレベーターで4階にあがりましょう。ここはおもちゃスペースシップ。昭和30年代の大阪の街並みが再現されていたり、サンフランシスコにある科学とアートのミュージアム「エクスプロラトリアム」からやってきたハンズオンの展示物が置かれたコーナー、一世を風靡したおもちゃを拡大して並べたおもちゃタイムトンネル、このミュージアム作りのベースとなったベアルとメロウの宇宙物語を楽しめるシミュレーションシアター「パワーユニット」などがあります。またこの階から延びた渡り廊下を抜けると、遊具の塔の入り口に辿り着きます。これはいわば巨大ジャングルジム。子どもたちの冒険心をくすぐります。次は3階のアストロキャンプ。古代の大阪湾に生息していたというマチカネワニの生体と骨格が遊具になっています。また、幼児がゆったりと遊べるようにと設けられたコーナーが授乳室の脇にあります。2階はスペースファクトリーと呼ばれる創作が楽しめるスペースです。ベアルの修理工房ではリサイクルの素材を使っての創作や各種ワークショップ、フェイスペインティング、スペースキッチンでの火や水を使う創作、コンピューターで絵作りを楽しむ電子動物園、パペットコーナーなどがあります。一階のこども劇場では、良質なパフォーマンスやダンス、音楽などの上演やワークショップも行われています。その他、秋口から立ち上がるトラックを使っての移動ミュージアムなど、アウトリーチ活動も行います。何よりも大切に考えているのは、人を介してこころゆくまで遊ぶこと。できる限り、時間を区切らずゆったりと過ごしてもらえるように、ワークショップに関しては特に注意しています。大人も子どもも忙しく、心の余裕がなくなりつつある今の社会において、終わりの時間を設けないことはとても意味のあることだと考えています。展示装置についてはハード的な側面や、スペースの問題から、利用人数が限られ、たくさんの人に使っていただくためには数分の利用とせざるをえないものもありますが、フェイスペインティングやモノ作りに関しては、席数が埋まれば、一応満員ということで待っていただく形式をとっています。細切れで、せわしない日常の生活とは違う、時間を味わってもらいたいから、あえてこのようなやり方を選択しました。ビッグバンは、おもちゃを使っての遊びや創作を通して、様々な世代や多様な背景を抱えた人々が、密なコミュニケーションをとってこそ成り立つ、いわば新たなコミュニティーを創出しようと試みているのです。チルドンズミュージアムは、今後、子どもだけのものではなく、インタージェネレーションの舞台ともなりうるのではないか、という新たな考えがあるわけです。

(IDEA, inc. 代表取締役/大型児童館ビッグバン総合プロデューサー)

館内の様子は次のページで見る事ができます


遊具の塔


遊具の塔
遊具の塔

各種のワークショップも 行われるベアルの修理工房
各種のワークショップも
行われるベアルの修理工房

フェイス・ペインティング
フェイス・ペインティング

スペース・キッチン
スペース・キッチン

Next Page
top
Copyright (c) Dai Nippon Printing Co., Ltd. 1999