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現代美術の新たな原動力は、伝統的な素材や手法を作家たちが放棄したこ
とから起こっています。歴史的に隔てられていた絵画と彫刻といった区分
もいまやほとんど無意味なものになり、作家たちは「必要ならあらゆる手
段で」作品をつくるという新しい手法を取っています。現代美術の世界、
サイト・スペシフィック・アート(「場」の特定された作品)の世界で
は、作家たちが様々なスペースやコンテクストにおいて、数知れないいろ
いろな方法で作品を生み出してきました。
今日、現代美術の最先端で素晴らしい作品がつくられる場合、その多くは
作家が企画に携わっています。多くの重要な展覧会会場、展示(例えば、
デミアン・ハーストの画期的な《フリーズ》の展覧会)は作家自身によっ
て企画され、そうしたやり方でリチャード・ウィルソンやレイチェル・ホ
ワイトリードなど多くの作家たちが頭角を現わしてきました。これらの作
品のアプローチは斬新で、多様な新メディアが試されたものの、結果的に
は(おそらくは作家たちのアクセスの不足からか)、インターネットのた
めに制作された重要な作品はほとんどありませんでした。つまり、今こそ
がインターネット・スペシフィック・アート(インターネットのためだけの
作品)を集めた美術展でのウェブ・サイトの着手にはまたとない好機で
あると言えるのではないでしょうか。
すでに世界的に認められた作家から、より若い「これから」の作家たちに
いたる幅広いアーティストに作品依頼をして、コンテナシップは、常に斬
新さのある重要な作品を発表する場として評価を得ていきたいと思いま
す。作家選択の基準としては、世界的評価を受け始めてもなお現在も活動
している作家を取りあげます。これらの作家たちの中から、明日のデミア
ン・ハーストやサラ・ルーカスが誕生し、この新しい魅力ある芸術形態の
コミッションを通じて多くの注目を集めることになるでしょう。現代美術
の多様性を反映することが、信頼と敬意を築く最良の方法と考えます。
コンテナシップはこの豊かな可能性を秘めた英国現代美術界にまず焦点を
あてます。もちろん、この国際的に重要な発信源との強力な結び付きをい
かしてプロジェクトを発足させますが、コンテナシップのコンセプトには
「旅」という概念が必然的に含まれており、コンテナシップはそれぞれの
国際的アートの中心地に共通して起こっている動向をひとつにまとめてい
くこともできるのです。これはより国際的になる美術の多様な試みに合致
し、インターネット・アートの将来を決定するものとなるでしょう。
e-2は、電子メディアのための革新的アート・プロジェクトを開発する、非
営利のマルチメディア・アート制作会社。インターネットなどさまざまな
デジタル・メディアを、現代アートと文化のための空間としてとらえ、外
部の組織やアーティストとコラボレーションしながら開拓している。
e-2は、サイモン・フェイスフル、ピーター・ムーア、マーク・ブラウンの
3人が、アーティスト/キュレーター、インターネット・プロデューサー、
グラフィック・デザイナーとしての才能をそれぞれ持ち寄って設立した。 |
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