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今いる場所/は/どこでもない
ナウ/ヒア――今いる場所
ノウ/ウェア――どこでもない
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始まり、始まり。
始まりかも、と言うべきか。
あなたには始まりでも、別の人には終わりかも知れないから。
始まりではあっても、終わりはない。
もう飽きちゃった?
私は飽きた。
もう、ウンザリ。同時性だって? どれもが同じだって?
いい加減にしてよ。
あなた、あなたは退屈してる?
それどころか、待たされて頭にきてる?
この「始まり」を待っている。
バスを待っている。
友だちを待っている。
食事の時間を待っている。
映画が始まるのを待っている。
チャンスを待っている。
私もずっと待って、待ちくたびれて、いろんな選択肢の間をノロノロ縫っているうちに、まぶたも開けていられなくなった。
ストップ。
今すぐ止まって。
言葉に触っちゃダメ。
コトバ ニハ タッチ スルナ。
彼らには聞こえない。彼らは触られるのも、確認されるのも耐えられない。中断を確認されるのが大嫌い。蛍光色の紙もイヤ、軟質鉛筆で紙のツヤが消されるのも、グラファイト分子が紙の繊維に逆らって乗っているのも、みんなイヤ。
何かが無駄にされている。乾燥しきって光が透けて見えるようになるまで、浪費自体が浪費されている。
私だって、偶然の産物としてここに居るだけだし。食べるのも忘れてた。なんにも食べないから、なんにも出ない。露出されすぎた私は透明そのもの。私は自分の身体を内部から焼き尽くしている。
紙だって今の私を切れはしない。 |
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