坂東慶一 |
絵画の自律性 すべての絵画は事物であり、主題であり、生活の中の何かの代替物であると考えています。私の絵画は、その多くの根源をドローイングにより立ち上げ、時には写真表現をベースにそれらを再構成し、そういった様々な側面をもった事象からあるひとつの「形態(フラグメント)」に凝縮させることが、ひとつの傾向としてあります。これは描かれた形をイリュージョンではなく、記号もしくは標示にしてしまうと同時に、知覚の問題、我々がいかに物を見て理解するかについての関心からきています。これが私の作品制作の大きなファクターであり、結果的には、それがオリジナルのイメージからどんどん離れていく。こんなことを含めた多義的な画面の呈示ができたら、それは意義深いことだと思います。 |
title: subtle lines 1996(circle around) |
かのロイ・リキテンシュタインは、「私は一度たりとも3次元のものを描いたことはありません。2次元のものを再び2次元に還元する。このことに常に興味があります。」……この態度は、不思議と私自身の制作への考え方を見る上でも重なる部分があります。単にフォーマリスティックな視点で色彩と形に翻弄されず、ある種、ストイックにそれらを配置する。氏同様に、このことに対する興味は尽きません。言い方をかえれば、絵画の主題は、その背景には存在せず、画面そのものにこそ集約されていると考えます。私は絵画のもつ底知れぬ可能性をまだまだ信用しています。
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title: subtle lines 1996 material: center - paper, right - acrylic on canvas, left - acrylic on wood |
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title: subtle lines 1996 (runnng horse) material: acrylic on canvas |
title: subtle lines 1996 material: acrylic on wood |
title: subtle lines 1996 (left - trustworthy right - trust and pissed off) material: acrylic on wood |
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