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The Best of 1997/1998
1997年のアートシーン/1998年のアートシーン

國吉和子 早稲田大学 講師、舞踊評論
1997年のアートシーン

1――評価した展覧会/イベント/作品など
日米共同企画による“エドガー・A・ポー・プロジェクト”

このプロジェクトの結果は、10〜11月に上演された『粘膜の嵐』(台本=S.ソンタグ、振付・構成=田中泯)に結実したが、凡百の国際文化交流に対する批判として、また配慮のゆき届いた国際プロジェクトとして、ひとつのモデルを示したので。

2――活動が印象に残った人物
強く印象づけられた人々は多数ですが、印象と評価は異なりますので回答は控えます。

3――記憶に残った動向/トピックスなど
新国立劇場、世田谷パブリック・シアターの開場

この2つの劇場を並べてどうこうするというのではなく、偶々、オープニングが同年だったので、トピックスとして掲げた。今後の劇場企画を期待したいが、新国立劇場の現代舞踊の公演が、あまりにも惨憺たる結果だったので、唖然とした記憶が残る。
1998年のアートシーン

1――期待する展覧会/プロジェクト/作品など
《土方巽 '98》プロジェクト

土方死して10余年、なおも謎の星雲として人々の頭上にただよっているといったところだが、'98年の複数の拠点で1年間通して行われる同プロジェクトで、土方評価の新たな展開を待つ意味で、パフォーマンス性というよりも周辺の企画(シンポジウム、出版など)に期待したい。

2――活躍が期待される人物
書ききれないので、数人を特定するのは控えます。

3――1998年はどのような変化があると思いますか
紀元2000年に向けた企画が多発する年

力の弱い者が強力プロジェクトに統合され、平均化するか、あるいは、マイナーなアーティストが完全に離れた形でアナーキーな勢いを結集してゆくか、いずれも急速な変化が出はじめる年となるでしょう。






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