アートフラッシュニュース

生活空間と外の環境をむすぶ装置である「窓」。風景は窓枠によって切り取られ、生活の中に入り込み、知らず知らずのうちに私たちの感情や行為にも影響を与えています。

「その窓から何が見えていましたか？」

「その窓がある部屋で、どんな暮らしをしてきましたか？」

「その窓を見ると、どんなことを思い出しますか？」

それぞれの暮らしの中にあった風景は、いまどのように見出され、どのように語られるのでしょうか。

誰かの遠い記憶にあるかつての風景が、途方もない変化の過程が、その人にしか見えていない鮮やかな細部が、語りによって立ち上がってくるはずです。

新婚生活を送っていた日々。子育ての時間。友人たちと集い、語らったこと。ひとり静かに送る、穏やかな日々。

ひとりひとりの暮らしのそばで、まちも刻一刻と変化してきました。

今回、公募で選ばれた10名のリサーチャーとともに、江東区内のいくつかの「窓」のお話を聞いてきました。

大きな団地のなかにあるそれぞれの暮らし。長い間お店を営みながら見つめてきた変化。海の向こうのふるさとと重なる風景のこと……。

本展は、2018年に東北沿岸部で行なったリサーチと、あらたに江東区で行なったリサーチをもとにした、「とある窓」を巡る語りを記録する冊子と、そのまちの風景を含む「窓」の写真、そして関連する資料等によって構成する展覧会です。

それぞれの窓から見えていた／見えている風景は、すべて異なるものです。

けれど、誰かの語りを通して、記憶や視点を通して、あらためてそれらの窓を覗いてみると、そこには、私やあなたがいつか見た、いつか見てみたいと思っていた風景が広がっているかもしれません。

あのころとこれからが、あの場所とこの場所が、あなたと私が、「とある窓」を介して重なっていきます。

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展覧会概要