フォーカス
他愛ない私たちの会話:Art Dubai 2013にて
松原慈
2013年04月01日号
Bisi Silvaとタクシーの中で
前に日本にいらしていたときお目にかかりましたね。
──そうだったわね。エル・アナツイ展のシンポジウムのとき。覚えてるわ!
今回、Art Dubaiのなかの、Markerっていうセクションのキュレーションをした感想はいかがですか?
──西アフリカに対しての総括的なフォーカスだったから、すばらしかった。メインのイベントの隅で小さく行なわれるのではなくて、トークもあったし、アーティストもコレクターもみんながしゃべって。反応もよくて、売り上げも、よいところは60%以上売った。
私たちみんな、自分たちのスペースの、経済的な継続性に興味があるの。プライベートな財団やフランスやドイツからの予算が大幅にカットされ始めて、自分たちで戦略を考える必要が出てきたから。長いアプリケーションを書くのに時間を使うんじゃなくて、独立した機関として自由に活動できるようにしていきたいの。まだ価格も過小評価されているし、そういう意味でも、アフリカン・アートがマーケットに進出していくのは、大事なことだと思う。
じゃあ、今回のイベントはすごくタイミングがよかったですね。
──その通りなの! それに、私たちのMarkerセクションをサポートするために、アフリカやアメリカからもいろんな人が来てくれた。コレクター、アーティスト、みんなただMarkerに出る私たちを見届けるために、わざわざドバイまで来てくれたのよ。
Koyo KouohとRaw Material Companyのブースで
こんにちは、コーヨー。
──私ね、コーヨーは日本語の名前《ヨーコ》のアフリカ版だっていつも言うの。
ああ、面白い発想! 私の名前を聞いてアフリカっぽいっていう人もいるし、似ているところがあるのかな、発音とかが。
──そうね、メグミっていう名前はタンザニア系!
アートフェアに参加してどんな印象をもった?
──ここに招いてもらってうれしいわ。私たちの活動やアーティストを西アフリカの外の人たちの関心事としてもって来れて。期待したほどではないにせよ、売れたし、それは励みになる。
こういうフェアに参加するのは初めて?
──完全に初めて。
ダカールのあなたのスペースは、リサーチベースで、商業ギャラリーではないけれどそれについてはどう思った?
──でも、私たちのスペースはRaw Material Companyっていう名前で、なんとかセンターとかそういうのとは違うの。Companyはビジネスのターム。だから、最初から生産と批評だけでなく、売ることも大切な要素と思っていたの。ただ、西アフリカのアートマーケットが理想的な環境ではないから、収入を期待できるメカニズムをもっていないだけなのよ。