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タニシK展「一方通行フライト」
スチュワーデスの格好でとつぜん電車に乗り込み、まるで機内であるかのようにドリンクを積んだワゴンを押し、ハイテンションな口調で乗客に話しかけるタニシK。電車の揺れによろめきながら必死にコミュニケーションを取ろうとする行為を、本人は「フライト」と呼んでいます。フライトは電車の中でのみ行なわれ、偶然乗り合わせてしまった客は、否応なしに日常の午後のひとときを奪われてしまいます。
彼女は2001年からこのフライトを始め、JR横浜線、東急東横線、井の頭線、そして韓国ソウルの地下鉄など各所でおこなってきました。
本物のスチュワーデスと比べるといささか強引な彼女のサービスは、ドリンクを勧めるだけではなく、乗客の行き先について尋ねたり、記念撮影に応じたりするなど、人間関係を重視した方向に展開されています。電車という空間は、人が大勢いるにもかかわらず他人とのコミュニケーションが希薄であることに疑問を持つ彼女は、自分が“事件”となって車内の空気を変化させることで、乗客同士のコミュニケーションが生まれることを期待しています。それは、もともと彼女自身がコミュニケーション下手であることから生まれた願望でもあるのです。
タニシKの最大の関心事は、目が合わないように注意しながらも横目で自分を見つめる乗客の心理そして自分がきっかけとなって他人であった乗客同士が言葉を交わす場面が生まれているかどうかなのです。どちらも彼女を媒介としたコミュニケーションのかたちと言えるのではないでしょうか。
初の個展となる今回の展示は、タニシKのフライト映像を投影し、ギャラリーと電車の交錯する空間を演出する予定です。会期中は渋谷周辺の路線でのフライト予定もあり、また、今回はじめて立ち上げたタニシKの航空会社「DIVA」を紹介いたします。
映像では、話しかけられないように窓の外を向くサラリーマン、電車でこんなサービスを始めたのかと納得する老夫婦、積極的に注文する中年女性など、国や路線による反応の違いが見られ、興味深いドキュメンタリーとなっています。
会期 |
2003年3月7日(金)〜30日(日) |
会場 |
ギャラリーTOM
〒150-0046 東京都渋谷区松濤2-11-1
TEL.03-3467-8102 |
休館日 |
毎週月曜日 |
開館時間 |
11:00〜18:30 |
観覧料 |
無料 |
主催 |
武蔵野美術大学 |
問合せ |
武蔵野美術大学企画広報課
αMプロジェクト
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