戦後のアメリカにおける抽象表現主義の展開にいち早く着目した批評家H・ローゼンバーグは、1952年にその動向を「アメリカのアクション・ペインター」たちと題する著名な論文で紹介し、彼が初めて用いたこの用語は、以後抽象表現主義に関与した一群の作家たちの制作姿勢を示すものとして受容されるようになった。キャンヴァスを「行為する場」とみなすこの表現は、J・ポロックのドリッピング絵画やM・ロスコの風景画などに窺われる、精神的な自己追究を突き詰めた様式とされ、同時期の社会主義リアリズムとは対立する一方で、J=P・サルトルらの実存主義哲学の影響も指摘される。一部で即席の行為と批判されたこの傾向を、C・グリンバーグらのフォーマリスト批評家は「超=美学的な公準」を見出すことでむしろ積極的に評価し、「カラーフィールド・ペインティング」の契機と位置付けた。
(暮沢剛巳)
関連URL
●ポロック http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/j-pollock.html
●ロスコ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-rothko.html
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