1992年9月から12月にかけて、東京・レントゲン藝術研究所にて開催された企画展。出品作家は中原浩大、村上隆、ヤノベケンジ、伊藤ガビンの4人で、ゲスト・キュレーターは椹木野衣。レントゲン藝術研究所は、1964年生まれのディレクター池内務が、自分の前後10歳までの作家を「責任世代」と明言、1954−74生まれの作家に限って門戸を開いているギャラリーだが、年齢制限によって同世代のスタイルを打ち出すこの方針は、当時大田区大森東に所在(現在は青山に移転)した広い空間を舞台に、展覧会のみならずパーティやパフォーマンスなど、多くの若者向けの活気あるイヴェントを提供した。中でも「アノーマリー」展は、多くのインタラクティヴな作品が展示された規模の大きさや、シミュレーショニズムを彷彿させる作家の選択や企画趣旨も相まって、多くの話題を集めた企画展であり、賛否両論が囁かれたが、当時のネオ・ポップの枠組みを最もよく体現した展覧会と言えよう。なお、1995年2月には同展の続編「アノーマリー2」が開催されたが、こちらはよりテクノ色が強く、また大半の作家が美術以外の領域から選択されるなど、わずか2年半のうちに、ネオ・ポップの枠組みが大きく更新されてしまったことが示されている。
(暮沢剛巳)
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