そもそも「アルス・エレクトロニカ」は、1979年に第1回が開催されたメディア・アート・フェスティヴァルの草分け的な存在だが、その成果を踏まえ、主催者であるリンツ市とオーストリア放送協会は、国際展の恒久的拠点であり、また研究機能やアーティスト・イン・レジデンスをも併設した総合文化施設アルス・エレクトロニカ・センター(AEC)を、96年秋に同市内のドナウ河畔に開設した。「未来のミュージアム」を自認する五つの展示空間が同館の最大のセールスポイントで、「ログイン・ゲートウェイ」や「知のネット空間」という空間名が示すように、メディア・アートのなかでもとりわけインターネットを重視するその姿勢は、CG部門を廃止しWWW部門を新設した国際展の方向性によって示されている。98年の夏に開催された企画展「情報戦争」は、著名なアーティストや批評家が多数参加し、国際的にも大きな反響を呼んだ。
(暮沢剛巳)
関連URL
●アルス・エレクトロニカ・センター http://www.aec.at/
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