「装飾芸術」。ウィーン工房、キュビスム、未来派、バレエ・リュス、バウハウスなど多様な着想源から1920年代のパリで生まれた折衷的装飾様式。異称として「1925年様式」(仏)、後期アール・ヌーヴォーなど。25年パリ開催の「現代装飾美術・産業美術国際展」(「アール・デコ」展)が名称由来。早くに直線的モチーフを生み出していたウィーン分離派(ゼセッション)の流れを汲み、幾何学モチーフや直線、流線形の多用を造形的特色とする。バウハウス等が提唱した近代デザインの概念を大量消費社会のファッション・スタイルとして受容、30年頃を頂点にモードからニューヨークの高層ビルまで20世紀デザインに影響を及ぼすが、第二次大戦勃発とともに衰退。60年代にはパリ装飾美術館の「25年代」展を嚆矢としてアール・デコ・ファッションがリバイバル、その通俗的な商業デザインはポップ・アートにも多大な影響を与える。R・ラリック、C・マッキントッシュなどが代表的作家。
(陳岡めぐみ)
|