1970年代に起こった、言語という形式の中にアートの可能性を追求しようとした美術運動。J・コスース、T・アトキンスン、D・ベインブリッジ、M・ボールドウィン、M・ラムズデンといったアーティストのほか、M・トンプソンのような音楽家も参加。当初機関誌『フォックス』を発刊するかたちでスタートした彼らの運動は、やがて自らの言語や行為をテープやマイクロフィルムに記録した作品へと展開、その実験の先鋭性を強めていった。アート&ランゲージは当時のコンセプチュアル・アートの一環として語られる運動だが、中心人物のコスースが『フォックス』誌で『オクトーバー』誌を敵視した論陣を張るなど、言語を素材とするこの運動はその理論と実践とが絶えず表裏一体の関係をなしていた。左翼的な傾向の強かった『ザ・フォックス』誌の理論的内紛が原因で、アート&ランゲージもまたメンバー相互の仲違いが生じて分裂するが、ボールドウィンとラムズデンは、その後もアート&ランゲージを名乗る絵画を発表、コスースはそれを痛烈に批判した。
(暮沢剛巳)
関連URL
●J・コスース http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/j-kosuth.html
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