五月革命直後から評論活動を始め、すでに『クロニック・ドゥ・アール・ヴィヴァン』の編集を手がけていたカトリーヌ・ミレによって、1978年に創刊されたフランスの月刊の美術雑誌。92年から仏語版と仏語、英語のバイリンガル版が発行された後、発行部数を大幅に伸ばし、現在は仏語版も一部はバイリンガルとなっている。発行部数はフランスおよびフランス語圏で3万部、その他の地域を合わせた総発行部数は4万8千部。カトリーヌ・ミレはこの雑誌において、時代の最先端にあったコンセプチュアル・アートを強力に支持した。フランスの他の美術雑誌と比べると、パリのアート・シーンにとどまらず南仏の動向にも目を向けており、展覧会情報などはフランス国内が中心であるが、同時にグローバルに時代の様相を反映するアーティストを取り上げるなど、視点はインターナショナルである。扱う領域は毎号、美術だけでなく写真、文学、演劇、ダンスまでと幅広く、美術市場の動向にも敏感である。『アール・プレス』誌とはまた別の観点から「バロック'81」展をオーガナイズし、フランスの現代美術界に少なからぬ影響力を持つこの編集長によるインタヴューは、アーティストのみにとどまらず各界の美術関係者にわたっている。また、大規模な企画展や、地方のアートセンター紹介を補完する形の増刊号なども発行している。
(柴田勢津子)
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