「貧しい芸術」という原義をもつ戦後イタリアの芸術運動。時代的には60年代の後半、いわゆる「スパツィアリスモ」と「トランスアヴァンギャルディア」の中間に位置しており、中心メンバーのM・メルツ、J・パオリーニ、G・ペノーネ、M・ピストレットらは、いずれも新聞紙やセメントといったチープな日用品を立体作品の制作素材として活用する共通項をもつ。戦後のイタリア美術を語るとき、比較的短命だったこの動向が真っ先に話題となるのは、もちろんそれが「ミニマリズム」の世界的趨勢のなかで語られるべき重要な意義を担っていたからだが、とすれば、それはこの動向に「貧しい芸術」と相応しい名を与え、またロンドンにて同名の機関誌を主催してプロパガンダに努めた批評家G・チェラントの慧眼による部分が大きい。この運動の同伴者であったチェラントは80年にベルリンで開催された「論争と結合」展でも、この動向の再評価に一役買ったのである。
(暮沢剛巳)
関連URL
●メルツ http://www.giorgiocolombo.com/MerzMarioAnaliticoPage1.html
●ペノーネ http://cc2.hku.nl/til/reservoir/penone/index.html
●ピストレット http://www.artcyclopedia.com/artists/pistoletto_michelangelo.html
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