1960年代のアメリカで主流を占めた美術運動。非遠近法的な空間構成やイリュージョニズムの排除といったその特質は、「キュビスム」や「構成主義」に端を発する20世紀美術の重要課題のなかにあるものだが、結果的には50年代の「抽象表現主義」が次世代の動向としての「ミニマリズム」を準備したと言えるだろう。批評家B・ローズはそうした動向が60年代の主流をなしていることにいち早く着目して「ABCアート」と命名したが、現在ではより美学的に対応している「ミニマリズム」の呼称が定着。そもそもは絵画から着手されたが、その“純粋視覚性”が最も発揮されたのが立体であり、60年代末に極限を向かえたのは衆目の一致するところである。なお、C・アンドレ、D・フレイヴィン、S・ルウィット、A・ラインハートらと並んでこの動向の代表的作家と目されるD・ジャッドが、「ミニマリズム」の範疇に括られることを晩年になって拒否するようになったのは注目に値する。
(暮沢剛巳)
関連URL
●D・フレイヴィン http://www.diacenter.org/exhibs/flavin62-96/flavin62-96.html
●S・ルウィット http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/s-lewitt.html
●D・ジャッド http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/d-judd.html
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