紙を主とした諸素材を使用し、印刷、シルクスクリーンなどの版画技法、写真もしくはペインティング、コラージュなど、またそれらの混合によってつくられたものを編集し制作される。
1973年ムーア美術大学で開催された「アーティスツ・ブックス」展がこの種の作品へのインタレストをつくる重要な契機として挙げられる。また同年「スタジオ・インターナショナル」誌上でクリーヴ・フィルポット(当時MoMA図書館司書)が「ブック・アート」という同義語を論文内で使用している。
「本という形状に従った作品」を指示するものとして理解されがちであるが、20世紀における芸術作品のメディウムや形式の拡張に伴って現われたひとつの技法として認識するほうが、この技法の可能性を理解するのに役立つといえよう。本という形式の多様性、もしくは、それとの対応関係によって分析するだけでは解釈として不十分だといえる。
先駆的な作家としてはウィリアム・モリスが挙げられる。また、20世紀初頭のマルセル・デュシャンの「グリーン・ボックス」などに見られるコンセプトはその後の展開へ強い影響を与えたといえる。
以降、ポップ、コンセプチュアル、パフォーマンス・アートなどに代表される作家たちによって、展示、発表の形式をめぐる問題をはじめ流通システムと作品受容などとの関連といった射程を含みつつ積極的に展開される。
(森大志郎)
関連URL
●モリス http://www.digital-brilliance.com/hyperg/history/morris.htm
●デュシャン http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/m-duchamp.html
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