現在「パフォーマンス」とは、アーティストによって行なわれる身体表現の総称と考えられているが、今世紀初頭の「未来派」や「ダダ」「バウハウス」らの実験に端を発するこのジャンルが、「パフォーマンス」として括られるようになったのは1960年代、「イヴェント」や「ハプニング」を経由したことによってである。ダンスやバレエといった従来の身体芸術と異なる点としては、行為者自身がアーティストであること、往々にして作家と観客という図式が超えられてしまうことなどが挙げられよう。会場や空間の性質上、主に発表の場は「オルタナティヴ・スペース」に求められるが、それは日本においてこの用語が一般化した80年代にも見られた現象であった。そして現在、「パフォーマンス」はしばしばサイバネティックスとの関連で語られる。多くの人工臓器が開発され、またスポーツ選手がドーピングによって飛躍的に記録を伸ばす現在、「パフォーマンス」もまたテクノロジーによる身体機能の拡張と無縁ではありえないからだ。
(暮沢剛巳)
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