「生命圏」。生物が存在する惑星としての地球全域のことを指し、19世紀のはじめ、環境適応型進化論の始祖として知られるJ・ラマルクが初めて提唱した。基本的な定義としては、地球上の大気を意味する「大気圏」、海洋を意味する「水圏」、地表の岩石を意味する「岩石圏」との対比で、地球上の生物活動が「気・水・岩」の上に成り立っていることを示している。20世紀の後半には、地球全域を襲っている深刻な環境汚染と、その打開策としての宇宙開発熱が高まり、その過程で地球全体の生態系を視野に入れた「バイオスフィア」にも関心が集まることになった。それをアートへと取り入れた実践としては、「宇宙船地球号」を提唱したB・フラーのライフデザインや、荒川修作の「宿命反転都市」、あるいはJ・タレルの「ローデン・クレーター」などが挙げられるだろう。また多くのメディアアートに援用されている「インフォスフィア」(情報圏)の発想も、その根幹の部分はバイオスフィアに由来している。
(暮沢剛巳)
関連URL
●荒川修作「宿命反転都市」 http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/review/0215/exhibi0215.html
●J・タレル http://www.jamesturrell.com/
●J・タレル「ローデン・クレーター」 http://www.rodencrater.org/
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