スイス、チューリッヒに存在したキャバレー。ダダイズム発祥の地。1916年2月5日詩人H・バルと夫人E・ヘニングスによって開店、同年3月29日最初のダダ・パフォーマンスと言える同時進行詩《提督は借家を探している》が行なわれた。第一次大戦末期のチューリッヒは戦争を逃れようとする亡命知識人のたまり場であり、T・ツァラ、R・ヒュルゼンベック、M・ヤンコ、H・アルプら詩人や芸術家たちもその一部であった。彼らがこのキャバレーを支え、国際的芸術運動ダダイズムを創始することとなる。同年5月25日にはH・バルを中心として雑誌『キャバレー・ヴォルテール』が創刊されたがこれは創刊号のみで終わり、1917年7月に発刊される雑誌『ダダ』に引き継がれている。
(苅谷洋介)
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