初期の写真技法。1835年に初めて成功したこの技法は、美を意味するギリシャ語「カロス」にちなんで命名された。1841年にこの技法を開発し特許を取得したW・H・タルボットにちなんで「タルボタイプ」と呼ばれることもある。手順としては、1−塩化ナトリウムの溶液に紙を浸けた後、それを乾かしてから、硝酸銀の溶液に入れる。2−感光紙である塩化銀紙が作られる。3−感光紙をカメラの中に入れて撮影(1835年8月に始めて撮影に成功)。4−短く撮影した潜像状態の感光紙を現像する、という具合に進行する。先んじて開発されたダゲレオタイプと比べた場合、銀板の代わりに紙を用いるため、複写が可能でまた経済性に優れているといった利点があった。1860年代には新しい技法にとって代わられ廃れていくが、1890年代には、ピクトリアリズムの写真家たちがにごった画面を作り出すこの技法の効果に注目したことによって、再び注目を集めることになった。
(暮沢剛巳)
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