建築家/デザイナーのB・フラーが1964年に考案したドーム構造のデザイン。大円に見立てた全体が三角形によって枠組みされているその構造が蠅の眼を彷彿させることから、正確には「モノヘックス・ジオデジック(Monohex
Giodesic)」と呼ばれる。そもそも球体構造は「最小限の表面積で最大限の体積を包囲できる」性質を持っているが、それに注目したフラーは、戦前の頃から「ダイマクシオン・ハウス」や「ウィチタ・ハウス」などの実験によってドーム構造の実用化を幾度となく試みていた。それらの試みがことごとく失敗したのは技術的な困難によるものだったが、戦後フラーはこの「ジオデジック」のデザイン原理をはじめ、大円の内部に正20面体構造を組み込んだ「テンスグリティ」や太陽光線とドーム内の対流現象による「ベルヌーイ効果」などを取り入れることによって、ドーム構造の実用化に成功した。「ジオデジック」の代表作としては、1967年のモントリオール万博のアメリカ館パヴィリオンとして建設されたドーム(後に火災で焼失)が最も著名であるが、その先駆は、すでに1959年にMoMAで開催されたフラーの個展でも予見されていた。
(暮沢剛巳)
関連URL
●フラー http://www.wnet.org/archive/bucky.cgi
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