インタリオ(凹版)技法の一種で、写真製版をもちいた間接法。1878年にスロヴァキアのK・クリッチュによって考案された。商業印刷の世界では写真画像の大量複製にもっとも一般的に用いられていた技法で、書籍雑誌の写真ページのことをグラビアと呼ぶほどだった。今日では、オフセット印刷の普及にともない、写真複製という用途での主役の座は奪われたが、食品や日用品のプラスチック包材の印刷ではもっとも広く使われている。製版工程は他の版種に比べて複雑で、ここでは詳述できないが、最大の特徴は、写真画像の連続階調を網点の密度に置き換えるのではなく、感光の際グラビア・スクリーンと呼ばれる特殊なスクリーンを用いて版面に深さの異なる微細なくぼみをつくり、これに詰めるインクの厚さによって連続階調を表現することにある。このため印刷された画像にオフセット印刷のような網点がなく、階調に独特の深みと奥行きを得ることができる。
(木戸英行)
|