湯村輝彦が1980年代前半から用いはじめ、当時の日本のイラストレーション界を席巻した用語。「一見ヘタのようだが実はウマい」の意。湯村はイラストを分類して「1:ヘタウマ/2:ヘタヘタ/3:ウマウマ/4:ウマヘタ」とし、この順で優れていると順序づけた。代表的な作家としては、湯村輝彦、マーチン萩沢、湯村タラ、霜田恵美子らが挙げられる。「ヘタ」は「表現主義的」「ポップ」などにも通じていよう。そもそも語義としては「説明画」であるイラストレーションが、クライアントからの依頼がなくとも描かれるようになり、絵画との区別が困難になりだした時期と、ヘタウマの支持は並行している。これらはともにポストモダン的な反イラストとも言うべき現象であり、現代美術とイラストレーションとのあいだのボーダーレス化を示している。
(垣田有香)
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