1950−60年代以降の資本主義の発展を、それ以前の資本主義とは異なる段階としてとらえようとするマルクス主義の立場。真っ先にこの立場を標榜したのはE・マンデルだが、それをさらに精緻に理論化し、芸術をもその視野に収めた議論としてはF・ジェイムソンの『ポストモダニズム あるいは後期資本主義の文化理論(Postmodernism,
or, the Cultural Logic of Late Capitalism)』(未邦訳)が挙げられる。ジェイムソンは戦前のアメリカ資本主義を、大量生産/大量消費/大量雇用を旨とするフォーディズムとの並行関係でとらえ、第二次大戦を分水嶺として、それ以降の発展を以前とは異なるものとして後付け、それをもうひとつの論点であるポストモダニズムの問題へと接続しようとする。具体的には、その手続きは『資本論』に代わって『経済学・哲学草稿』を重視した読解、D・ベルの「ポスト産業社会」を念頭に置いた文化理解などによって進められていく。なお、ジェイムソンによれば、この後期資本主義に対応した芸術の様式としては、A・ウォーホルらのポップ・アートやフォトリアズム、P・グラスやT・ライリーらのミニマル・ミュージックなど、1960、70年代の諸動向が代表的な例だという。
(暮沢剛巳)
関連URL
●A・ウォーホル http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/a-warhol.html
●T・ライリー http://terryriley.com/
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