1960年代後半〜70年代前半にかけて、ロサンゼルスを中心とするカリフォルニア南部で展開された光と空間を制作素材とした美術作品の総称。もともとロサンゼルスのアートシーンではミニマリズムの影響力が強かったが、1960年代の半ばには、その厳格な表現に対する若手アーティストたちの反発が、合成樹脂やファイバーグラスを用いたチープな作品の量産という形で現われた。この動向をロサンゼルス・“ルック”と呼ぶが、ライト&スペース・アートは、ここで生まれた光沢のある表現や、作品を設置する空間への関心がさらに肥大化する形で展開されたものである。そして現時点では、このライト&スペース・アートの可能性は、J・タレルのように大気や天空をも作品の中に組みこんだ瞑想的な作風へと移行するのか、あるいはR・アーウィンや(この動向には含まれないことが多いが)D・フレイヴィンのように、あくまでもミニマリズムの問題系の中で光と空間の問題を探求するのか、対照的な方向へと二極化したものとしてとらえらえている。
(暮沢剛巳)
関連URL
●J・タレル http://www.jamesturrell.com/
●D・フレイヴィン http://www.diacenter.org/exhibs/flavin62-96/flavin62-96.html
|