1910年、イギリスの批評家ロジャー・フライ(1866−1934)がマネ、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホなどの主要作品を集めてロンドンのグラフトン・ギャラリーで開催した大規模な展覧会。出品作品の評価をめぐって大きな社会的論争が引き起こされた。「後期印象派――ポスト・インプレッショニスト」という呼称は、このときマネ以外の1880年代後半から1910年頃までに活躍し、後世代に影響を及ぼした画家たちを指して使われた語から生まれる。この展覧会の目的は、再現的な細部描写や逸話性を好むイギリスの従来の絵画趣味・傾向に対して、フランスで展開されていた「近代絵画」を広く紹介することにあった。フライはその後もイギリス各地で後期印象派を擁護する活発な批評活動を行ない、彼らの評価を高めることに大きく貢献した。後期印象派は以降、印象派の様式を革新した画家たちとして、いわゆるモダニズムの文脈に置かれることになる。
(陳岡めぐみ)
関連URL
●E・マネ http://www.mystudios.com/manet/manet.html
●V・v・ゴッホ http://www.vangoghgallery.com/
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