元来組み立てるというフランス語。転じて映画の編集技術用語となった。各ショットをつなぎ合わせることは、映像に空間と時間の座標を与え意味を生み出すことである。ショットそれ自体は中立的な素材でしかない。映像の意味はモンタージュを通してはじめて分節化される。レフ・クレショフは同一の俳優のクロースアップにそれぞれ違った場面を繋ぎ、二番目のショットによって最初のクロースアップの表情の意味が異なって見えるのを実証した。1920年代、クレショフ工房に出入りしていたセルゲイ・M・エイゼンシュテインは、二つのショットを並置し、ぶつけあわせることで第三の、独立した、まったく新しい意味をもたらす独自のモンタージュ論を展開した。『戦艦ポチョムキン』(1925)はその集大成である。ツァーの軍隊と蜂起した民衆の緊張感溢れるモンタージュは、ロシア革命の意義を観客に効果的に伝えるものである。また1920年代後半、映画のモンタージュの洗練と足並みをそろえ、複数の写真で作品を構成するフォトモンタージュが隆盛をみた。
(石田美紀)
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