「フォトモンタージュ」といえば、一般には写真や映像の技法という印象が強いだろう。それはもちろん、手配写真の作成やS・エイゼンシュテイン以降の映像表現等を通じて広く浸透しているからなのだが、じつはこれは、第一次大戦期のドイツにおいて、ダダイズムに関わっていた作家たちが開発した、美術に端を発する技法なのである。それより少し以前に、P・ピカソが創始した「コラージュ」は表現の奥行きを拡げる便利な技法として多くの作家たちへと伝わっていったが、その過激な制作姿勢ゆえ、道端のゴミを拾い集めたコラージュ作品を作っていたダダの作家たちが、新しいイメージの表現手段であった写真に着目したのは至極当然のなりゆきだった。無論、この技法はその後も多くの実験を経てその成果が蓄積され、戦後の「ポップ・アート」や「アプロプリエーション」の段階では、多くの作家にとって、写真の活用はもはや制作にあたっての必須条件となっていたのである。
(暮沢剛巳)
関連URL
●P・ピカソ http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/p-picasso.html
|