アメリカ国内の芸術文化活動を助成し、公共とアートのアクセスを推進する連邦の芸術機関。1965年より10万件以上の芸術活動に国家予算からの助成を行なっている。主要美術館での大型展覧会やパフォーミング・アーツ公演等の助成のほかに、国営放送、史跡保存、ブルース等を含む民俗芸能・美術の保護、国内文学作品の出版から都市の再開発計画まで、NEAの活動対象は極めて広範であり、また地域密着主義と芸術教育の普及に特色がある。学校へのアーティスト・レジデンス・プログラムなどによる美術教育は幼稚園に始まり、生涯教育とその指導者育成プログラムにも力が入れられている。NEAが現代美術において注目を集めたのは、60年代後半に政府が推進したNEAの「公共の場の美術プログラム」(公共の場に美術品を設置する共同体への財政援助・指導)と「美術のためのパーセント・プログラム」(公共計画の建設財源の数パーセントを美術品設置にあてるもの)が「パブリック・アート」というタームを確立したことによる。それは同時に、このプログラムによって設置され議論を巻き起こしたR・セラの《傾いた弧》のケースに代表されるような「芸術と公共性」の問題をもたらしたのである。
(三本松倫代)
関連URL
●国立芸術基金 http://arts.endow.gov
●大西若人「パブリック」と「アート」の関係について考える /インタヴュアー=村田真 /museum/nmp/nmp_j/feature/1002/onishi.html
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