「オプティカル・アート(Optical Art)」の略称で、錯視効果を強調した抽象絵画の一群を指し、フランス語では「アール・シネティック」とも言う。その色彩理論や幾何学的な抽象性を辿れば、戦前のバウハウスの時代のJ・アルバースにまで遡ることができるが、美術史上この語は64年、彫刻家のG・リッキーがニューヨーク近代美術館のキュレーターとの対談ではじめて口にしたものとされ、したがってその適応範囲も翌年同館にて開催された「レスポンシヴ・アイ」展の周辺に限定される。代表的な作家としては、B・ライリーやV・ヴァザルリらがいるが、波状のパターンなどを多用するその表現様式はすぐさま装飾的様式の追求へと移行し、美術界の流行の波間へと埋もれてしまった。しばし忘れ去られていた「オプ・アート」が再び脚光を浴びたのは、80年代、P・ターフやR・ブレックナーらの「アプロプリエーション」によってである。
(暮沢剛巳)
関連URL
●アルバース http://www.geocities.com/SoHo/Cafe/6519/
●リッキー http://www.davidsongallery.com/rickey.html
●ニューヨーク近代美術館 http://www.moma.org/
●ヴァザルリ http://www.vasarely.org/
●ターフ http://www.artscenecal.com/Listings/WestHwd/GagosianFile/PTaaffe.html
●ブレックナー http://www.angelfire.com/ny/bleckner/index.html
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