「流用」。既製のイメージを自作のなかに取り込む技法としては、すでに今世紀初頭の段階で「コラージュ」や「アサンブラージュ」が開発されていたが、「アプロプリエーション」は一層過激なものであり、「オリジナリティ」を絶対視する近代芸術観を嘲笑するかのようなその意図と戦略は、しばしば高度資本主義との並行関係によって語られることになった。代表的作家に数えられるM・ビドロ、S・レヴィーン、R・プリンスらが近年いずれも失速を余儀なくされているのを見ると、この動向が80年代のポストモダニズムとの密接な関係のうちに成立していたことが了解される。なお、流用に際して必ず何らかの変形を加えるのも「アプロプリエーション」の特徴で、代表的手法としては、引用よりは略奪と呼ぶのが相応しい「サンプリング」、切断を交えた「カットアップ」、絶えず反復する「リミックス」などが挙げられる。
(暮沢剛巳)
関連URL
●レヴィーン http://www.walkerart.org/resources/res_pc_levine.html
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