1917年、イタリアでG・デ・キリコとC・カッラが始めた運動。デ・キリコの作風が運動全体の様式となったが、それは一見無関係なモチーフ(マネキン等)を、どこかゆがんだ空間に並置することで、不安で神秘的な雰囲気を醸し出すものであった。デ・キリコは、この様式を「絵画という手段によって物体の新しい形而上学をつくる試み」と表現したが、論理や常識では把握できない、夢に登場するような世界を絵画化しようとしたのである。この個人の内面への注視は、政治やテクノロジー、未来社会を志向した未来派への反動から生まれたものであった。この運動はその後理論的支柱としてフロイト等の精神分析理論を取り入れるとともに、シュルレアリスムを導き、自らもシュルレアリスムに吸収されていくこととなる。
(苅谷洋介)
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