1910年の11月から翌11年の1月にかけて、ロンドンのグラフトン画廊で、批評家であり、画家であるロジャー・フライによって、第1回のポスト印象主義展が開催された。正確なこの展覧会の名称は、「マネとポスト印象主義者たち」である。しかしながら、マネの作品は、9点の展示にとどまり、マネの次の世代にあたるさまざまな傾向をもつフランスの画家たちの作品が一堂に集められたことで、画期的な展覧会となった。この展覧会のカタログの序文にあるように、フライは、これらの画家たちの作品が多様化し、統一的な様式として一括りにできないことから、印象主義への反動という意味も込めて、後期印象主義、ポスト印象主義(Post-Impressionism)という名称を適用したのである。実際に展示された作品は、ゴーガンが46作品、ゴッホが25作品、セザンヌが21作品、セリュジエが5作品、モーリス・ドニが5作品、ルドン、マチス、ピカソが各々3作品となっている。このように、フライは象徴主義、総合主義、フォーヴと称された画家たちの作品を後期印象主義と総称し展示したのである。
(安藤智子)
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