世代的には「もの派」の後に位置し、その美学的主題や知覚様態、制作技法などの面で「もの派」から極めて強い影響を受けている、主に1980年代に登場した作家たちを指す。79年、もの派に近い立場の批評家峯村敏明が、「もの派」と彼(女)らの関係を印象派と後期印象派の対比になぞらえて命名した。世代的には、もの派の作家とほぼ同年の北辻良央、山中信夫、彦坂尚嘉らから、年少の川俣正、平林薫、吉澤美香らまでを含む振幅があるが、そもそも「ポストもの派」は特定のマニフェストをもたず、彼(女)たちの「もの派」に対するスタンスもその作品の特徴も、個々の作家によってさまざまであって「もの派」のような共通の意図をもった芸術運動とは言えない。「もの派」と「ポストもの派」の連続性と対比は、両派の作家を多数輩出している多摩美術大学が主催した「もの派とポストもの派の展開」(監修=峯村敏明、1987)展を通じて注目を集めるようになった。
(暮沢剛巳)
関連URL
●川俣正 http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/nmp_j/people/t-kawamata.html
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