「絵画的抽象以降の抽象」。1964年、批評家C・グリンバーグはロサンゼルスのカウンティ・ミュージアムにおいて、いわゆる「カラーフィールド・ペインティング」のなかでも単純な形態やフラットな色面構成が顕著な作品を集めた企画展を組織し、大きな反響を呼んだ。この展覧会の名称でもあった「ポスト・ペインタリー・アブストラクション」は、R・スミスやE・ケリーらの出品作品の傾向とも対応していたため、以後当時の彼らの作風を示す用語としても用いられるようになるが、現在では「ハード・エッジ」という呼称が定着している。同様に、その名称が「カラーフィールド・ペインティング」や「ハード・エッジ」の一群の作家たちと美学的に対応していた展覧会としては、66年にL・アロウェイがグッゲンハイム美術館にて企画した「システミック・ペインティング」を挙げることができるだろう。
(暮沢剛巳)
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