1969年に創刊された写真誌。創刊時のメンバーは批評家の多木浩二、詩人の岡田隆彦、写真家の中平卓馬、高梨豊の四人で、第二号より写真家の森山大道が参加、その誌面は、メンバーの論考、詩、写真作品によって構成されていた。非営利の同人雑誌であったため少部数しか刊行されず、またわずか四号で終了した短命の媒体だったが、当時本格的な批評がほとんどなかった日本の写真ジャーナリズムに対して与えた影響は大きく、写真が都市や風景との密接な関連で論じられるようになった礎石は、この雑誌によってうち立てられたといっても過言ではない。とりわけ、70年代初頭の「政治の季節」を背景とした、松田政男の『風景の死滅』を取り巻く風景論争は、この「プロヴォーク」によって触発されたものである。この雑誌やその周辺の事象は現在もなおときおり回顧されるが、当時の記録を伝える文献としては、西井一夫の『なぜ未だ「プロヴォーク」か――森山大道、中平卓馬、荒木経惟の登場
』(青弓社、1996)が最も詳細である。2001年、小部数限定で復刻版(岡田隆彦稿は未収録)が刊行された。
(暮沢剛巳)
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