「…号」というスケールの基準が示すように、一般に絵の具を塗布するキャンヴァスは四角形(美術用語としては「矩形」と呼ばれることが多い)であるが、自作の労を厭わなければ、無論この“常識”は絶対的な拘束力をもつ前提ではなく、楕円形や菱形のキャンヴァスに描かれた作品が美術史の記述にも登場する。もっとも、現代美術の用語でいう「シェイプト・キャンヴァス」とは、60年にレオ・キャステリの画廊でF・ステラが初めて用いたものと特定されており、その定義もまた当初は、絵画を独立した物体として成立させるための「ミニマリズム」の技法という極めて限定されたものであった。同じ系列に位置する作家としては、K・ノーランドやR・マンゴールドなどがいるが、J・バートレットのような異なる系列の作家が「シェイプト・キャンヴァス」を用いるようになって以降、その表現領域は緩やかに拡大し続けている。
(暮沢剛巳)
関連URL
●レオ・キャステリ画廊 http://www.artincontext.com/listings/pages/org/8/2p1ahtc8/exhib.htm
●ステラ http://www.dnp.co.jp/gallery/ccga/ca/frank/frank.html
●マンゴールド http://www.physics.hku.hk/~tboyce/ap/topics/mangold.html
●バートレット http://www.gregkucera.com/bartlett.htm
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