中原佑介をアドバイザーとして研究会を行なっていた中沢潮、田中不二、土居樹男、長野祥三らによって、1962年結成されたグループ。同年3月の読売アンデパンダン展にグループで参加し、5月サトウ画廊にて第1回「時間派展」を開催、開くと轟音をたてるドア、多数のバックミラーを埋め込んだ絵画など、鑑賞者の関与によって成立する作品が展示された。その際発表された「時間派宣言」では、「絶対的時間を固有時間におきかえ、未知の次元を芸術の中に与えることによって、別な実在を確認する」といった彼らの意図が明らかにされた。数年間の活動期間を通し、無記名による集団制作を行ない、特権的な作家という概念を否定する姿勢をとり続けた彼らは、芸術における時間という概念に取り組み、鑑賞者の知覚や行動と作品を結びつけたその慧眼によって、読売アンデパンダン世代特有の破壊的表現衝動を超え、インタラクティブ・アートの萌芽とも言うべき先鋭な表現活動を行なったといえる。さらに、演劇などの他ジャンルとのコラボレーションや、光を使用したキネティック・アート的作品も制作したが、66年にその活動を終えている。
(宮川暁子)
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