近代以降の都市計画全般を示す、緩やかな広がりを持つ概念であり、「アーバニズム」と英語式に発音されるのが通例だが、あえて「ユルバニスム」とフランス語式に発音される場合、それは紛れもなく、この概念が同名の書物(樋口清訳、鹿島出版会、1967)を著した建築家ル・コルビュジエのコンテクストの中にあることを意味している。「建築することは秩序付けること」であり、「住宅は住むための機械」であったル・コルビュジエにとって、同時代の建築は「前機械主義時代からいまだに覚めやらぬ保身的アカデミーの死に瀕したもの」として映っていた。そのためにル・コルビュジエは、「セントロ・ソユーズ」計画をはじめとする、モデュロールに基づいた厳密な均衡によって成り立つ、きわめて機能主義的な都市計画を発案、その実現を目指していく。大半の計画は日の目を見なかったが、それでもその理念は戦後の《チャンディガール》や《ユニテ・ダビタシオン》に断片的に実現されている。現象学風の言い回しを用いれば、「ユルバニズム」とは「理念的対象性」を実現するための試みだったのだ。
(暮沢剛巳)
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