終戦後まもない時期に活発に展開された、文学と美術のジャンルにまたがる前衛芸術の研究会。1948年6月、発起人の花田清輝と岡本太郎を中心に、椎名鱗三、埴谷雄高、野間宏、佐々木基一、安部公房、関根弘らが会員・オブザーバーとして参加して発足。東中野の喫茶店「モナミ」を会場に、「リアリズム序説」「対極主義」「反時代精神」「創造のモメント」といった研究発表を軸に、アヴァンギャルド芸術をめぐる熱い討論が交わされた。このうち、当時共産党に近い立場だった花田等は同年9月に「アヴァンギャルド芸術研究会」を形成し、また翌年5月には新しい芸術運動体「世紀の会」が起こるなど、「夜の会」を起点とした多くの芸術運動が分岐していく。この運動に関わって後に頭角を現わした作家としては、作家の池田龍雄、桂川寛、安部真知、勅使河原宏、田中正光等がおり、またこの会の一員であった批評家の針生一郎や瀬木慎一等は、後年の諸著作で「夜の会」を回顧している。
(暮沢剛巳)
|