はじめまして。大澤寅雄(おおさわとらお)と申します。
最近、自己紹介をするときに、所属組織ではない肩書きを「文化生態観察」と名乗ることにしました。文化を生態系として捉えて、常に動いている生態の変化を観察しながら、ある時はシンクタンクの研究員、ある時はNPOの事務局、そしてまたある時は大学の兼任講師など、様々な立場を利用して日々の活動をしています。
今回、artscapeのブログをお願いされたお題は「震災復興とアート」。これについては、書きたいことはたくさんあるものの、震災も、復興も、アートも、人によって見方や考え方が大きく違うテーマでもあります。ですから、いざ書くとなると、なかなか難しいわけです。
しかし私は、あるがままの文化の生態系を観察して、それを報告しようと思います。とくに、2011年3月11日に発生した東日本大震災と、その後の東京電力福島第一原発での事故によって、文化の生態系は本当に大きな影響を受けていると思うのです。その影響と変化を観察し、リアルタイムで伝えて行くことは、ブログというメディアの特性を活かした作業だとも思うのです。とまぁ、多少の気負いがありつつも、ブログですから、肩の力を抜いて書くことにします。
それでは、初回ですので、自己紹介のついでに私が関わっているプロジェクトから紹介させてください。
全国各地のアートNPOをゆるやかなネットワークで結ぶ、NPO法人アートNPOリンクが、アートNPOエイドというプロジェクトを立ち上げました。アートNPOリンクは、3.11直後の3月19日から20日にかけて、「わたしたちに、できること」をテーマに全国アートNPOフォーラム in 鳥取を開催。そこで「長きにわたる復興への道のりにおいて、それぞれの場で、いまじぶんたちにできることを、そして、アートにできることを考え、実践していくことの決意を表明」しました。それを受けて始まったのが、活動支援プログラム、伝えるプログラム、表現の回復プログラム、つなぐプログラムといった活動です。
このアートNPOエイドの特徴は、全国各地に点在するアートNPOリンクの理事や事務局のメンバー(5人の実働メンバーと3人のアドバイザー)が、インターネットでコミュニケーションをしながら、それぞれ専門のスキルを持ち寄って成立しているということです。メンバーの活動拠点地域も、活動分野も、肩書きも違うのですが、こうした多種多様な立場が、緩やかで水平なネットワークを形成して活動を展開しています。
この「多種多様な立場による、緩やかな、水平なネットワークの形成」が、震災によって促されている文化の生態系の傾向ではないか、という気がしていますが、この点については、引き続き、様々な事例を観察、考察していきたいと思います。また、アートNPOエイドの活動についても、今後、たびたびこのブログでも紹介させていただきます。
そして、アートNPOエイドの活動にご理解いただける方は、ぜひともご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
ではでは、ひとまず今日は、この辺で。