はじめまして。岩元真明と申します。
これから3ヶ月の間、現代建築家レム・コールハースの著作『S,M,L,XL』の解題を行います。どうぞよろしくお願いします。
OMA(Office for Metropolitan Architecture)という変わった名前の設計事務所を主宰するコールハースは、北京のCCTV(中国中央電視台)やシアトル中央図書館、ポルトの 音楽堂「カサ・ダ・ムジカ」などの先鋭的な建築を生み出す実践者であると同時に、20世紀後半以降における最も重要な建築理論家でもあります。
彼にはたくさんの著作がありますが、中でも『錯乱のニューヨーク』と『S,M,L,XL』が有名です。前者は和訳され文庫にも収められているため、日本でも読者が多いのですが、『S,M,L,XL』は出版後15年以上経て未だ和訳されず、まともに読んだことのある人も案外に少ないように思えます。なぜでしょうか。
それはおそらく、『S,M,L,XL』が巨大すぎる本だから…だと思います。
この本、みなさんも本屋や図書館、ミュージアム・ショップなどで見たことがあるのではないでしょうか。厚さが約7cm、総ページ数は1,300を超える、文字通りの「大著」です。私が学生だった頃には「『S,M,L,XL』は巨大なヴィジュアル・インパクトに意味があるのであって、テクストを真面目に読む必要はない」なんてことが、まことしやかに囁かれていました。
しかし、実のところ『S,M,L,XL』には、現代建築の流れを変えた思想や手法の数々が惜しみなくこめられており、現在活躍する多くの建築家に強い影響を与えてきました。
私は現在コールハースに関する研究書の翻訳をしており、この巨大な本に今一度、取り組んでいます。そこで、このブログをお借りしてみなさんと『S,M,L,XL』の解題を共有していきたいと思います。それでは、どのように読むか。
コールハースには熱狂的な支持者がいる一方、建築界のヒール(悪役)としての一面もあります。そこでは、彼の名前には大抵「ニヒルな…」「シニカルな…」という枕詞が付けられます。彼のテクストには既存の建築界に対するアイロニーがしばしば込められているのは事実です。しかし、一方的な先入観は、彼の建築理論の理解を妨げてしまう気がします。
そこで、このブログでは『S,M,L,XL』をまっすぐに読むことを心がけようと思います。そして、すでに古典とも呼べる本書と、現在におけるコールハースの建築実践との関係を明らかにしていきたいと思います。
この本買うかどうかすごく悩んでます!
高校生なので¥7000は大きいです(–;)
図書館でも借りたんですが、一週間じゃ読み切れないし、所有したいし・・・
和訳が出たら絶対買いますね!!
コメント by KE0900 — 2012年3月9日 @ 15:13