こんにちは、水野です。
最終回になる今回も、9/23、24、25と行うデザインシンポジウム/プロジェクト、DESIGNEASTについてご紹介したいと思います。今年は「周縁と中心」というテーマに基づき、プロジェクトやシステムのデザイン、建築、プロダクト、ファッションなどなど、多様なジャンルの話をすることになっています。
>まず、今回のテーマ「周縁と中心」とは、やはり東日本大震災と無関係ではありません。ツイッターなどのソーシャルメディアに代表された震災直後の情報交換の速度と密度をふまえると、「集団による動的編成は、デザインの民主化を夢見る」ことが可能なのか。消費型社会から循環型社会へ、所有から共有へ、1人からP2Pへ、これまで「中心」とされてきた仕組みをゆるがすような「周縁」の可能性について私たちは考え、実践していかなければならないのでは、と思います。
と「周縁と中心」の解釈について書きました。これをふまえてファッションデザインにおける周縁と中心の話が主になっていたのが前回のエントリーです。さて、今回はもう一つ企画を担当したものがあります。
それが「システムデザイン」という枠組みです。東京大学知の構造化センター・pingpongプロジェクトの岡瑞起さん、建築家の藤村龍至さん、FabLab Japan Founderの田中浩也さんをお招きしつつ、新しいシステムを通して「人、社会の関係性、仕組みを設計する試み」を考えてみようという広い話をしてみたいと思います。
ところで、8/31現在ではまだamazonでは予約のみ受け付けていますが、メディアデザイン研究所編「設計の設計」という、とても気になる本がでています。amazon上での内容説明を以下に転載します:
>モダニズムを支えた規範的社会制度が崩壊し、微細な差異の集積としてのポストモダニズムが称揚され、思想や建築として体現された20世紀末。さらに「建築」が「アーキテクチャ」、「都市」が「グローバル・シティ」へと変質していくなかで、新たなプラットフォームづくりを急ぐ2000年代を過ごした私たちは、コンピュータをはじめ、いまや実装可能、実現可能になりつつあるさまざまなツールを用い、行動やプロセスのなかで、建築、空間、情報環境を設計し、人と社会の関係を設計しなおす試みを絶えず行なっている。
こうした現在の試みは、同じく社会の更新期であった1960年代の「世界デザイン会議」や「メタボリズム」運動が、国際的な支持を受けつつ、工業化社会に あって技術的に昇華されなかったヴィジョンをいよいよ実現化していくプロセス、あるいは70年代の分野横断的な「一般設計学」が問うた、「あらゆる設計に 共通するフレームワーク」を実現可能にしていくプロセスととらえることができるのではないだろうか。
本書は、建築、技術開発、情報工学のイノベーターである若き5人が、過去のさまざまな成果のうえに立って、建築、空間、情報環境のまったく新しいパラダイムを立ち上げ、これからの時代の「設計の設計」のヴィジョンと実践を示す。
とても気になります。
寄稿されたゲスト(藤村さん、田中さん)がいらっしゃるので、この本の内容も併せて議論していきたいと思っています。ですが、ひとまず企画した自分としてはどういう趣旨でお呼びしたいと思ったのか、そしてどういうトークを期待しているのか(こっそり)お話したいと思います。
まず、岡瑞起さんですが、情報学系の研究をベースにデータマイニング等の研究をされてこられた経緯から、Design Thgrough the Structuring of Human Behaviorということで、pingpongプロジェクトではエスノグラフィックな方法論とツイッターのテキストマイニング等のテクノロジーを混合させた(建築・インテリア)デザインプロセスの研究をされています。これがこのプロジェクトのみならず、情報空間を現実空間を連動させた設計の技法について幅広くお話をしていただけたらと思います。あのひと検索・Spyseeのテクニカルアドバイザーでもあるとのこと、面白いです。
やや脱線しますが、「彼氏追跡アプリ・カレログ」というアプリがAndroid向けに発表されました。GPSや通話記録まで解ってしまうアプリによって、人間の管理が恋愛にも及ぶという事なども含めて、テクノロジーがもたらす未来などについてもお話できたらと思っています。
つぎに、藤村龍至さんですが、いわずもながな建築における活動家として、多岐に渡る活動をされてきました。その中でも特に気になっているのが「国土計画」に関する論考などです。もちろん震災以前からもその話がでていたのですが、「生活から国土」まで、様々なレベルに至る大きなビジョンを持った建築家としての石川栄耀などの話も含め、震災以降における「バリアブル(variable)スケールの建築設計」について、特にお聞きしたいなあと思っています。
そういえば、dot architectsの家成俊勝さんとこの間話をしていて、designeastの活動は地理的条件に制限されず、興味や趣味の共有から新しい形のローカリティを形成しようとしているのではないかという話になりました。しかもそれは閉鎖的な体系ではなく開放的であり、新しいアイデアを受け入れてローカリティ自体を常に更新しようとする運動体なのではないか、という意味で「開放系ローカリティ」と勝手によんでみたりしていました。そんな話?をふまえて、高齢化、過疎化、産業形態の変化に伴う国土計画は新しい人をどのように受け入れる仕組みをつくる必要があるのか。そんな具体的なことも含めつつ、「バリアブルスケールの設計」がどのような可能性を持つのか、そこを伺えたらと勝手ながら思っています。
そして、FabLab Japan Founderの田中浩也さん。これまでにも何度かこのブログでもご紹介させていただいたFabLabについての話がでるかと思いますが、そこで重要なのは「世界ファブラボ会議」がこの間ペルーにて開催され、そこで話し合われた世界中のファブラバーがものづくりの多様性をどう捉えているのか、世界中にちらばるファブラボネットワークとの連携によるDIWOものづくりの可能性などについてお聞きしたいと思います。石巻工房など、今度の震災の被災地でもファブラボ的な動きが起こりつつある今の日本の状況から、どこでも誰とでも繋がり、ものづくりをすることによる未来についてお話を伺えたらと思っています。
上記の皆さん以外にも、ノザイナーさんなど、システムデザインの内容と関連する方が多数来場される今年のdesigneast02は、ある意味でこのブログのテーマにもなっているデザインの社会性、民主性、歴史について必然的に触れていくことになるかと思います。ぜひ、3日間足を運んで頂けたらと思います。場所は大阪・名村造船所跡地。詳細は http://www.designeast.jp/をご覧下さい。
このブログは、ファッションというとても身近なメディウム「を」、「から」考えることを通して、ファッションデザインを批評するネタやタネをご紹介できたらと思い書かせて頂きました。社会的包摂、ソーシャル・イノベーション、考現学、メディア論、デザインプロセス、建築、プロダクトデザインなどなど、一見すると「ファッションデザイン」に関係しなさそうなトピックでも、ファッションと関連づけて考えることは可能なのではないかと個人的には思っています。
毎回、勢いで文章を書いているので日本語が十分洗練されていなかったり、文法的におかしいところも多々あったかと思います。それにも関わらずこれまで読んでくださった皆様、どうもありがとうございました。
そして、ここで文章を書かせて頂く機会を下さった齋藤さん、ありがとうございました。
それではFashionistaで再びお会いできることを楽しみにしております。
あ、でもまずはdesigneastに来てくださいね。
それから、11月16日から京都大学総合博物館でinclusive design nowという展覧会やりますので、こちらもよろしければ是非笑
それではまた!
みみみみみみみみみみ
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ピンバック by DESIGNEAST02 周縁と中心の開催のお知らせ « changefashion.net — 2011年9月9日 @ 13:04