rep 建築のカタチとその価値

随分間があいてしまいました。今回はrepというプロジェクトについて書きます。rep – radlab. exhibition project- とは、僕らが運営しているradlab.というスペースで実験的に行なっている建築の展覧会のことです。このradlab.は、実際足を運んでいただいた方はご存知のようにradlab.は雑居ビルの3階にある、もともとは住居だったところを少しずつ自主施行で改装したスペースで、イメージとしてあったのは建築のオルタナティブスペース。関西には東京のように建築専門のギャラリーや書店がほとんどなく、なにかしらのイベントが行われるといえば大学などの公的な機関という状況だったので、もっと気軽で実験的な試みが行なえる場を目指しました。

場所ができた当初は主にQCなどのレクチャーやプレゼンテーションをおこなっていましたが、2009年から建築の展覧会に興味を持っているメンバー達とrepを始めることになりました。

まず考えねばならなかったのは、建築空間を疑似体験できるような実験的なインスタレーションを中心に行なっていくのか、もしくは模型や図面を中心とし作品の販売を目指すか、どちらが建築の展覧会をする上で試みとして面白いかを考えました。建築は一種の空間体験ではあるので、説明的にならずに建築そのものの体験を重視するのであればインスタレーションというのは魅力的な方法といえます。とはいえ、radlab.は小さなスペースなので大掛かりなインスタレーションは不可能で、その上いくら空間体験ができるとはいえそれは擬似的なものでしかないのではないか、であるなら、コマーシャルギャラリーとして建築の展示が成立するという事を考えようと思いました。つまり、展示物を建築として販売することをひとつの条件にしてみる。作品を売るという条件のなかで「建築」はどのように可能で、どのような「かたち」をするのかという事は非常に興味深いことのように思われました。ご存知の通りポンピドゥーセンターや、MOMAなどは美術作品として建築図面や模型を収集しています。残念ながら日本では建築家の図面や模型の価値付けが公的になされておらず、貴重な資料や作品が散逸してしまうおそれがあります。公的な支援が追いつかないのであれば、自分たちでまずはその価値を具体的に提示していけばいいのではないか。そのためには、美術という制度の中に入り込みながらも建築であることにとどまり、なおかつ作品自体は芸術の域に達する事が理想です。そのために必要なクオリティやコンセプトの強度、そしてなぜこれが建築であるのかという事への問いを常に行なうことが重要です。もう一点付け加えるとするならば、建築への関わりをより能動的にできないかという事です。一般的に人が建築に自分から関わる事ができるのは、マイホーム建設やマンションの改修など一生に一度あるかないかですが、repでは作品として建築を買うという選択肢を生み出す事で、建築と人の新しい接点を生み出したいと考えています。

1回目から7回目までゆっくりとしたペースで進んできました。基本的に個展の形式をとっているのは、建築家との対話の中からその人の建築的思考を読み解き、作品=建築として落とし込んでいきたいと考えているからです。

建築家の数だけ、「建築」のかたちがある。それを提示し価値を見いだしていく。これがrepの目指すところです。


第3回トラフ「inside out / outside in」会場風景


第5回湯浅良介「inothing and something」会場風景


第6回assistant「すなわち、言いかえれば」会場風景photo(C)assistant

ブロガー:川勝真一
2011年10月28日 / 11:07

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