建築屋とデザイナー

 ほぼ家が完成し、完成披露見学会が施工会社によって行われました。

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 本当のところをいうと自分の家に他人が上り込んで歩き回るのはあまり気持ちのいいものではありませんが、私はデザイナーとしてこのイベントの重要性をとてもよく知っています。契約の段階で快諾させていただきました。

 人に見せる前提で造るのとそうでないのとでは全く違います。自分の作ったものを見せたいという基本的な欲求だけでなく、それは同時に「下手なものはつくれない」という戒めでもあります。

 私の場合フリーランスなので「自分が作りました」というかどうかは全て私の裁量で決めることができます。気に入らないものができてしまったら、黙っていればいいのです。しかし一度そこに甘えてしまうと「じゃぁ黙ってればいいや」と安易に妥協してしまうようになり、気づいてみればほとんど公開することができないものばかり…ということにもつながりかねません。そのため気に入らないものでも公開し、次はこれを払拭するものを作ろうと自分を奮い立たせています。

 実は施主としてもっと「お客さん面」したかったのですが、こんな感じでついつい自分の仕事に重ねてしまう場面が多々ありました。棟梁と話してもやはり同じ職人で、基本的に可能な限り一人でやるというスタイルも私と同じ。施工途中で相談していく中で決めていた要望がいつのまにか覆り、「話が違う!?」と思うこともありましたが、それも全体のバランスを考えてのことでしょう。一つを治すと他がおかしくなる。総合的に考えて修正した結果、当初言っていた内容と異なってしまうことはデザインでもよくあることです。普通ならちょっと機嫌を損ねてもいいような事もそんな風に矛を収めました(笑)。

 逆に展示会での彼らの様子はとても誇らしげで自分たちの作ったものに対して自信に満ちていました。私もこのぐらい胸を張って受け渡すことができるだろうか。見習わなければいけないこともたくさんあったように思います。

 そんな風に共感できる人たちに建ててもらった家が完成。とても充実した気持ちでいっぱいです。完成披露会が終われば、いよいよ家族4人揃って新しい故郷で新しい生活が始まります。しっかりと地に足をつけて風土に溶け込み、社会と関わりあいながら子供を育て、私たち夫婦自身も充実した人生にしたいと思います。

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ブロガー:加藤潤一
2011年11月28日 / 10:11

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